季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第93回 門出を祝う 〜花言葉にメッセージ込めて〜
バラの花びらをイメージしたラッピングで装った、やさしいピンク色のバラの花束。
春は、出会いと別れの季節。真新しい制服を着て、小さなチューリップの花束を持った子供たち、バラの花束を抱えた華やかな袴姿の学生。そんな姿を見かけるようになると、もう卒業式のシーズンなんだと、学生だったころを思い出し懐かしい気持ちになります。
晴れやかな門出は、色とりどりのお花でお祝いしたいものです。春は球根の花や枝ものなど花の種類が豊富で、他の季節よりもたくさんの品種が出回るシーズンです。たくさんあるお花の中から、門出を祝うシーンにぴったりのお花をご紹介します。
春の花を代表するスイートピーは、フリルのような花びらが愛らしく、蝶がひらひらと飛び立つ姿にも似て、小さな子供のお祝いにぴったり。パステルカラーでまとめた小さなブーケからは、フルーツのようにフレッシュな香りが漂います。花言葉も「門出」と卒業式に贈りたい花です。
スッと伸びた茎と磁器のようにつるりとした質感のカラー。個性的でスタイリッシュ、都会的な印象が、男性にも女性にも人気の高い花です。花言葉は、「夢」。大きな夢を持って社会に羽ばたいて行く未来のビジネスマンへ。
花の女王と言われ、クレオパトラやマリーアントワネットをも魅了してきたバラは、いつの時代も一番人気の花です。花の咲き方や種類、色も豊富で、その種類は3万種以上もあると言われています。
ギフトとしても人気が高く、花色や合わせる花材によって様々なイメージに仕上がるので、贈る人に合わせてコーディネイトできるのも魅力です。バラの花は愛にまつわる花言葉が有名ですが、バラの葉にも「希望あり、がんばれ」という花言葉があります。これから枝葉を伸ばし成長していく若者に向けた言葉のようにも聞こえます。また長年の研究の末、開発された青いバラには、「夢かなう」という花言葉があります。
期待と不安で胸がいっぱいの学生や新社会人に、温かいメッセージを添えたお花を贈り、新しい世界へと歩いていく背中をポンと押してエールを送ってあげてはいかがでしょうか。
日比谷花壇 シニアデザイナー 西澤真実子
コラムニスト紹介
ギフト商品デザインのコアを担うトップデザイナーのひとり。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とする。また最近では、書籍やCDジャケット撮影の作品を手掛けるなど、活動の幅を広げている。