季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第82回 ダリア 〜大輪で、ひときわ華やか〜
色のバリエーションが豊富なダリア
夏の暑さも薄れ、秋めいてきました。秋の花は和のイメージが強く、可憐で儚げな小花が多く揃います。そんな小花の中で、大輪でひときわ目立つ華やかな秋の花があります。『ダリア』です。
ダリアは、メキシコ原産と言われ、メキシコ国民に最も親しまれています。メキシコの民族衣装には、スペインの植民地だった時代に持ち込まれた立体的なつくりの刺繍ブラウスなどがあります。鮮やかで細かい刺繍の中にはダリアの刺繍を施した衣服がたくさんあります。
ダリアの花は、現在3万種以上あると言われています。咲き方のバリエーションも多く、細く咲く「カクタス咲き」やボールの様な花形になる「ポンポン咲き」、まるでスレインの様な花形の「ウォーターリリー咲き」などがあります。1輪の大きさが小輪から巨大輪まで幅があるため、使えるシーンも幅広くあるのが特徴です。
秋の店頭ではダリアがとても人気があります。9月〜10月の送別用の花束などで、お世話になった方への感謝の気持ちを表すのに、ダリアを1輪入れることでひときわ華やかな花束へと変わります。受け取った側も印象に残る花束になります。また女性に人気の高いポンポン咲きのダリアは、カラーバリエーションが豊富です。
ダリアはもともと園芸用が多く、切花にすると水揚げや日保ちがあまり良くありませんでした。生産や流通の技術が向上することで、以前より長く楽しむことができるようになりました。
購入後は茎を斜めにスパッと切り、表面積を増やすことで、水の吸収がよくなります。乾燥にも弱いので、花の裏側から霧吹きを吹きかけ、品質保持剤(糖分を多く含む液体)を入れることで、ご自宅でより長く楽しんでいただくことができます。
とても華やかな花なので、枝物やグリーンを合わせるとダリアがより強調されます。また、意外性のある実物などもアレンジのアクセントになるので、おすすめです。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 小野瀬 景
コラムニスト紹介
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングディレクターとして、お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開、お客様と生産者を結ぶフェア展開を手掛ける。