季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
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第78回 ハイビスカス 〜手軽に南国気分を満喫〜
夏の陽射しに映える黄色の花色のハイビスカス
アメリカ ハワイ州の州花としてあまりにも有名な“ハイビスカス”。 南国の太陽が降り注ぐブルーの海と白い砂浜に最も似合うこの花は近年日本でも大変人気があります。
通常、日本の市場で流通している多くが、世界各地で交配により作り出されたハワイアンタイプと呼ばれるものです。もう一方で古くからの原種に近いものをオールドタイプと呼んでいます。
一般的には鉢植えで楽しみますがハワイや沖縄などで地植えされているものは5mくらいの潅木にまで育ちます。
ハイビスカスは1日花と呼ばれ、朝開き夕方にはしぼんでしまいます。 昨年あたりから2〜3日咲き続ける品種がお目見えし話題を呼んでいます。夜もしっかり咲いています。
南国ハワイが原産地のハイビスカスなので暑さには強いと思われがちです。しかし、最近の日本の真夏は苦手なようです。人間が夏バテするような真夏は、一度花を咲かせなくなってしまうこともままあります。7月〜8月は少し遮光をしてあげたほうがよいでしょう。秋口になり人も少し過ごしやすい気候になると、元気に花を咲かせます。冬でも暖かい日が続く時など、けなげに1輪だけ花を咲かせたりすることもあります。
日本国内で一番ハイビスカスが多く楽しめるのは沖縄でしょう。生け垣や庭、路地のあちらこちらで咲き乱れています。亜熱帯気候の沖縄はハイビスカスには最も適した土地で、人の目を楽しませてくれます。また、海風が強い土地では防風林として畑を守り大いに役立っているようです。
ハイビスカスから抽出されるオイルはインドの健康法(アーユルヴェーダ)で頻繁に使用され頭皮をマッサージすると髪の毛がさらさらになったり、またその香りはストレスにも効果抜群であったりと、花を楽しむだけではないのです。
ハイビスカスは5月下旬頃より花屋にも多くの品種が並んでいます。色も赤、ピンク、黄色、オレンジ、白。また一重咲き、八重咲きなどとてもバリエーションに富んだ花です。
一鉢、気に入った品種を見つけて育ててみてください。お手軽に南国気分が味わえます。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美
コラムニスト紹介
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗を統括する鉢物マーチャンダイジングディレクターとして活躍。花鉢や観葉植物の魅力を熟知し、お客様が求める、お客様に発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。