季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第77回 七夕 〜カスミソウで天の川演出〜〜
カスミソウを天の川に見立てた花束、アレンジメントが並ぶフラワーショップの店頭
7月7日は七夕です。五節句のひとつとされ、別名『星祭り』とも呼ばれていています。
さまざまな願い事を書いた短冊を笹竹に結び飾られる風景は、夏の風物詩となっています。
七夕の織女(しょくじょ)という娘と農耕に熱心な牽牛(けんぎゅう)はよく知られています。2人の地上でのロマンスが、空高く流れる天の川のほとりに輝く、こと座のベガ(織女)とわし座のアルタイル(牽牛)になぞらえられています。
最近では、この天の川を『カスミソウ』に例えて、ブルー・イエロー・ピンクなど染めたカスミソウや銀河のようにキラキラしたラメを付けたカスミソウが市場で多く出回ります。
カスミソウの花言葉は「切なる願い」「清い心」と物語中の2人と重なるような意味を持っています。カスミソウの小さくたくさん咲いている花が、天の川の銀河のようにも感じられます。フラワーショップの店頭では、笹やカスミソウなど七夕になぞらえた商品をたくさん取り揃えています。
また、昨年は大震災があったことで例年とは異なった七夕まつりになったように感じた人も多かったでしょう。「仙台七夕まつり」では‘復興と鎮魂’をテーマに、被災地の復興を願う祭りとして開催されました。東北の復興応援企画として全国の百貨店や商店街や商業施設で「七夕まつり」や「東北の夏祭り・物産展」などを行い、日本中で東北の復興を応援していくというところが多かったように思います。
私たち日比谷花壇でも店頭で願い事を短冊に書いて笹に飾るイベントを毎年行っています。昨年は自分の願い以外に東北の復興を祈った願い事が多く寄せられました。集められた短冊は例年の2倍近くになり、日本中の人々が復興を祈るメッセージを東北の方々に伝えたい気持ちでいることが分かりました。
今年も、日比谷花壇では店頭やホームページで願い事を受け付けています。皆様から頂いた短冊の願いは、七夕まつりで有名な宮城県仙台市の大崎八幡宮へ奉納させていただきますので、ぜひご参加ください。日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 小野瀬 景
コラムニスト紹介
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングディレクターとして、お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開、お客様と生産者を結ぶフェア展開を手掛ける。