季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第79回 トルコキキョウ 〜夏が旬、爽やかさ運ぶ〜
店頭に並ぶ旬のトルコキキョウ
トルコキキョウという花をご存じでしょうか。
花卉市場では周年にわたり流通している花で、いろいろなシーンで扱われる人気花ですが、実はトルコキキョウは夏が旬の花です。ひらひらと幾重にも重なっている立体感のある花弁が、夏の暑さを忘れさせてくれる爽やかさも感じさせてくれます。
昔は一重咲きが多く、和や仏事をイメージするような花でしたが、現在ではバラと見間違うぐらいの華やかさを持っています。柔らかくフリルのかかった花びらが重なり合い、ゴージャズなトルコキキョウは、ブライダルフラワーとしても多く活用されています。
また、八重咲きのトルコキキョウから種を採種し、改良を重ね、受粉しにくいトルコキキョウを作り出しました。従来よりも受粉するのに時間がかかるため花保ちがよくなりました。改良が進められた今では300品種以上のトルコキキョウが流通されています。紫や赤、ピンク、白、イエロー、グリーンなどの色があり、バリエーション豊富に展開しています。また花形もとても豊富です。可憐な一重咲きから華麗な八重咲き、花弁の先がフリルのようなフリンジ咲きなどがあります。
すっと伸びた葉と茎からは想像できないほどのボリュームで咲くトルコキキョウは、産地の豊かな日照と、カラッとした低湿度の環境と生産者の高い技術力によって、夏の暑さにも負けない強くたくましい花に育てられています。
最近人気の高いトルコギキョウでは「レイナホワイト」という品種があります。大輪八重咲きの品種で、全体にフリルがかかっているような花です。生産者によっては、かつてないほどの巨大輪に作ることができます。
レイナ(Reina)とは、スペイン語で『女王』を意味します。かつてない大輪の花。圧倒的な存在感に誰もが魅了されます。また涼やかで清々な白の色がブライダルシーンにとても似合います。夏の暑い時期が旬であるトルコキキョウは、冬場よりも花付のボリュームも良く花保ちも抜群です。
いつまでも凛と咲くトルコキキョウで夏の疲れを癒してください。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 小野瀬 景
コラムニスト紹介
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングディレクターとして、お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開、お客様と生産者を結ぶフェア展開を手掛ける。