季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第73回 カーネーション 〜母の日に感謝の気持ちを込めて〜
カーネーションを使った母の日アレンジメント
5月の第2日曜日は、『母の日』です。今年は13日です。花卉業界では1年のうちで一番需要が高く、盛り上がる時期です。母の日当日のフラワーショップはお祭りの様な賑わいをみせます。
『母の日』は誰もがよく知っている行事ですが、始まりはアメリカ・ウェストヴァージニア州で、アンナ・ジャービスという女性が亡き母を追悼するため、1908年5月10日にフィラデルフィアの教会で赤いカーネーションを配ったのが始まりと言われています。この風習は、ウェストヴァージニア州の知事が5月第二日曜日を母の日にすると宣言し、アメリカ全土に広まっていき、1914年には5月の第2日曜日が「母の日」と制定されました。日本では、明治末から大正の初めごろに教会でお祝いの行事が催されるようになり徐々に民間に広まっていったと言われています。
現代では、母の日の贈り物と言えば、『赤いカーネーション』が定着していますが、赤以外のカーネーションを贈る方もたくさんいらっしゃいます。カーネーションは、ナデシコ科の植物で、とても丈夫で長持ちします。花が咲いてからも約2週間以上楽しむことが出来る丈夫な花です。特に、糖分などを含む延命剤を使用するとより花の発色が良く、長持ちさせることができます。
今では世界中で生産され、品種の数は数えきれないほどあります。フラワーデザインの世界でも、カーネーションは定番の花ですが、デザインの幅が広く個性的なデザインを作ることができます。
日本では毎年、新たな品種が生まれています。1輪にたくさんの色が入っている品種や、アンティークな色合いの品種など、色々なシーンに合うおしゃれなイメージのカーネーションもあります。
今年、日比谷花壇では、お母さんとの絆を結ぶリボンをモチーフにした、カーネーションを使った母の日アレンジメントを展開しています。1年に1回、お母さんに日頃の感謝の気持ちを伝えることのできる『母の日』に、お母さんの笑顔を思いながら、カーネーションを選んでみてはいかがでしょうか。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 小野瀬 景
コラムニスト紹介
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングディレクターとして、お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開、お客様と生産者を結ぶフェア展開を手掛ける。