季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第99回 トルコキキョウ 〜色の種類も豊富〜
暑さにも強く花持ちのよいトルコキキョウ
光をまとうカーテンのように、柔らかく艶のある花弁が重なり合うトルコキキョウ。華やかで手のひらほどに咲きます。
原産地はトルコではなく、北アメリカです。日本には大正から昭和の初めに入ってきたようです。なぜ名前にトルコが入るのかは、はっきりとはわかっていません。また、キキョウではなくリンドウの仲間です。
繊細な花弁の持ち主ではありますが、厳しい暑さにも強く花持ち抜群。夏にはバラにも勝って、ウエディングシーンなど冠婚葬祭のさまざまなシーンで活躍していて注目度の高いお花です。
トルコキキョウには、優しいラベンダー系のイメージがあるかと思われますが、より明るいピンクや黄色、清楚な白・グリーン、深みのある紫赤など、色のバリエーションも豊かな花材です。
この「色」が出始めるのは開花が始まるころ。ほとんどの蕾は、浅い霧がかかったような緑色をしていて、開花するまでは何色の花が咲くか判断するのは職人の技が必要です。開花が始まると、花弁の根元から花弁先へ向けて、各々の色をあらわにしていきます。
残念ながら花を摘んだ後は、この色の変化を見ることができません。しかし、トルコキキョウは1本に複数輪の花をつけます。成長順に、下で咲く輪ほど、花弁の縁まで良く色付いた安定感ある美しさを感じさせます。また、上で咲く輪も、成長過程ならではの絶妙な色を表し、1本の内で成長する美しさを見せてくれるのです。
サイズは小輪から巨大輪、咲き方も一重咲き・八重咲き・フリンジ咲きなどさまざまで、色のバリエーションと合わせると、流通している種類は300種以上にもなります。
種類豊富なトルコキキョウはいつ観ても長く見ていても、見る人を飽きさせない花材です。
夏の光が射す部屋で、すっと伸びた茎葉と、茎からは想像できない絶妙な色合いで咲くトルコキキョウをお楽しみください。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 長谷川藍生
コラムニスト紹介
店頭での経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングを担当。お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。