季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第100回 ヒマワリ 〜見る人を明るく元気に〜
ひまわり、ミスカンサス、レモンリーフを使ったアレンジメント
太陽の光をたっぷり浴びて育ったヒマワリが、顔よりも大きく、背丈をゆうに越えて競い咲く。そんな勢いのある夏の景色を見たのが懐かしく思い出されます。
ヒマワリはハウスを利用した栽培が主流となっています。ハウスで栽培することで、成長の管理が可能となり室内でも気軽に飾れるサイズで、より多くの人に親しまれています。
ヒマワリはギリシャ神話にも登場します。水の精クリュティエは、太陽の神アポロに恋をし、アポロを思い太陽の光を浴び続け、ついには足が地に根を下ろし、ヒマワリとなった。その思いが絶えずして、ヒマワリは太陽を見つめて咲くようになった。
ヒマワリの漢字表記「向日葵」は「太陽にあわせてまわる花」という意味をもち、さらには、「あなただけを見つめる」という花言葉さえ、この神話に由来しているだろうと考えられています。
現在、日本で流通しているヒマワリのおよそ80%は「サンリッチひまわり」というシリーズ。子供から大人まで、ヒマワリを愛する全ての方に元気を与え得られるように「太陽いっぱい」という意味で「サンリッチ」の名前がついています。
その名の通り、夏の溢れる日差しをたっぷりうけて育つヒマワリは、種まきから45日〜60日ほどで出荷されます。このときヒマワリは蕾の状態。店頭に並ぶまでの配送段階で柔らかな花弁が傷つかないように蕾のまま出荷されています。一見、本当に咲くのだろうか、咲かずに終わってしまうのではないかと不安がよぎりますが、問題ありません。生花店店頭に並ぶころには、輝く太陽のように黄色の花弁を燦燦と輝かせます。
しゃきっと背筋を伸ばし、太陽を見て咲く姿を見ていると明るい気持ちになってきます。夏の暑さに疲弊するころ、ヒマワリでお部屋を彩り、気分を盛り上げてみてはいかがでしょうか。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 長谷川藍生
コラムニスト紹介
店頭での経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングを担当。お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。