季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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第90回 スイートピー 〜香りにリラックス効果〜

ハウス内で育つスイートピー

ハウス内で育つスイートピー

 フリージア、ヒヤシンス、スイートピー・・・。春になると甘い香りの花が街を包み込みます。

 その中で甘い香りのお豆(Sweet Pea)という意味のネーミングと、カラフルな色合いが、ふと甘い洋菓子を連想させるスイートピーは、春の陽ざしのようにやさしい香りを放ちます。

 スイートピーの香りは三つに分けて楽しまれているよう。バラやヒヤシンスのような女性的な香り。ブドウのようなすっきりとしたフルーティな香り。柑橘系をメインにしたフレッシュグリーンのさわやかな香り。今ヨーロッパで、これらの香りにリラックス効果があるのではないかと考えられ、ルームフレグランスとして親しまれています。

 香りだけでなく、花姿もひらひらと舞う蝶のように愛らしいスイートピーは、主に宮崎県で栽培されています。

 宮崎県日南市の生産者・西岡農園さんでは長い日照時間や温暖な気候、きれいな空気、水など恵まれた資源をいかしてスイートピーを栽培しています。

 スイートピーは、種蒔きからおよそ半年間かけて栽培されます。種を水で発芽させた後に、バーミキュライトに蒔き、約30日間0℃の冷蔵庫入れます。その後、ハウス内である程度成長したら「つる下げ」という作業を行います。「つる下げ」とは、生育過程で上に伸びていくスイートピーを横に倒すことを言います。これは、茎の曲がりを防ぐために行われ、スイートピー栽培の要とも言えます。倒したところから脇芽を伸ばし、伸びたら切るといった作業を繰り返し、出荷されていきます。

 生花店に並ぶスイートピーは通常50〜60センチほどの長さですが、本来の植性をいかせば、種を蒔いてから収穫が終了する間に9mほどまでに成長するそうです。

 「甘い香りのお豆」ということですが、豆がなるのかと疑問に思う人も多いのではないでしょうか。豆はなります。スイートピーは鞘ができて、中に豆ができ、それが翌年の撒く種になります。ちなみにこの豆はとても苦いそうです。

 この季節に、パステルカラーが上品なスイートピーを、香りと共に愛でてみてはいかがでしょうか。

日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 長谷川藍生

 コラムニスト紹介

長谷川 藍生
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 長谷川 藍生
店頭での経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗の生花マーチャンダイジングを担当。お客様が求める、またお客様に新たな発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。