季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第54回 幸せのジンクス 〜結婚式を「青」で演出〜
ブルースターやデルフィニウムといったブルーの花でデザインしたウエディングブーケ
ウエディングで6月と言えば、ジューンブライド。
欧米では古くから、6月に結婚すると生涯幸せな結婚生活を送ることができるという言い伝えがあります。いわゆる幸せのジンクスですが、もともとはギリシャ神話の主神ゼウスのお妃ヘラ(英語名Juno)という女神が由来と言われています。ヘラは、結婚・出産を司り、家庭・女性・子供の守護神です。このヘラが守護している月が6月で、それを祭る祭礼が6月1日に催されたことから、結婚式を6月に挙げるとヘラの加護を受け、生涯幸せになれると言われるようになりました。
日本でもジューンブライドに憧れる人は多いですが、梅雨の季節ですので、雨が降っても大丈夫な会場選びや、ゲストの皆さまへの心配りを忘れずにプランすると素敵な結婚式ができます。
またウエディングにまつわる幸せのジンクスとして、「サムシングフォー」というものもあります。
ヨーロッパでは200年以上前から花嫁の幸せを願うおまじないとして結婚式に取り入れられてきました。サムシングオールド(何か古いもの)は「祖先から受け継がれてきた財産」、サムシングニュー(何か新しいもの)は「これから始まる新たな生活への一歩を踏み出す」、サムシングボロウ(何か借りたもの)は「幸せな結婚生活を送っている人の幸せにあやかる」、サムシングブルー(何か青いもの)は「花嫁の清らかさと誠実な愛情」を表しており、それらを結婚式当日に身につけた花嫁は生涯幸せな結婚生活を送ることができるとされています。
実際、結婚式でサムシングフォーを身につけたり、演出に取り入れたりする方はたくさんいらっしゃいます。
お花では、サムシングブルーとして青い花をあしらいます。身に着けるブーケにブルースターなど愛らしい花をさりげなく入れるのも素敵ですし、なかには幸せの色「ブルー」で、これからの二人の生活が幸せいっぱいでありますようにという気持ちを込めて、会場装花をコーディネートすることもあります。
今年もたくさんの幸せなジューンブライドが誕生することを楽しみにしています。
コラムニスト紹介
都内ホテルにて、ウェディングブーケのデザイン・空間装飾&テーブルコーディネートを担当。また、ホテル婚礼パンフレットの制作に携わる。10年間で1,000組を超えるお客様のウェディングフラワーをコーディネートする。