季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第1回 チューリップ、愛妻への贈り物にいかが
冷たい北風が吹きつけて、身も心も冷え切ってしまう今日この頃。うららかな春の日差しが待ち遠しいですね。そんな時はお花屋さんを覗いてみて下さい。
お花屋さんの店先はひと足早く色とりどり、様々な春の花が並び甘い香りでいっぱいです。
今日ご紹介するのは春の花の代表「チューリップ」。愛らしい花姿とバリエーション豊かな花色で昔から世界中で人気の花です。
「チューリップ」の原産はトルコから中央アジアと言われ、歴史は古く紀元前4〜前3世紀ころの織物にチューリップ模様が確認されており、その後16世紀にヨーロッパへ伝えられました。ここでチューリップにまつわる意外な話をご紹介します。17世紀オランダで育種ブームが起こりめずらしい球根が高値で取引され、価格が急騰、一時は球根1つと12エーカーの土地が交換されたことも。チューリップ狂時代、チューリップバブルとも呼ばれる世界最初の世界経済バブル事件を引き起こしました。
1996年オランダ王立生産協会が発行しているチューリップ品種リストには、約5600種が記載され、たくさんの品種が切花、園芸種として出まわっています。一重咲きやユリ咲きのように馴染みのある花姿のものから、バラのように花びらを幾重にも重ねて咲く八重咲き、花弁に細かい切れ込みが入ったフリンジ咲きなどちょっと変わった花姿のものが最近の人気種です。チューリップを子供っぽい花と思われている方もいると思いますが、色、咲き方、合わせる花材を変えればエレガントな女性向けにも、シックでダンディな男性へのギフトとしても贈ることができます。「永遠の愛」というロマンティックな花言葉を持つチューリップは想いを伝えたいギフトにも最適です。1月31日「愛妻の日」をご存知ですか?愛妻家というライフスタイルを世界に広めていこうと日本愛妻家協会が行う文化活動です。今さら照れくさくて言えない感謝の気持ちをチューリップに託して贈ってみてはいかがでしょうか?
コラムニスト紹介
フラワーギフトの制作に長期間携わり、ギフトシーンにおける多くのフラワーデザインを 経験。現在は、ギフト商品の部門で商品デザインのコアを担い、トップデザイナーのひと りに数えられている。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とし、 女性的で透明感のある作風が特長。独特のロマンティックな演出が、多くのファンを魅了 してやまない。また最近では、書籍の表紙デザインやCDジャケットのフラワーデザインを 手掛けるなど、多岐にわたる分野で活動を続けている。