季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第68回 桜 〜鉢植えなどで春を先取り〜
ギフトにも喜ばれる、鉢植えの桜
日本人に最も馴染みの深い花の一つは、“桜”と言っても過言ではないくらい、みなさんも毎年桜の開花を待ち望んでいるのではないでしょうか。
淡いピンク色の花をたくさんつける桜は、日本最古の歌集“万葉集”にも桜を詠んだ歌があるように、太古の昔から人々の心を捉えてきた花です。
桜と言えば、“染井吉野”が一番身近に感じるかもしれませんが、実は山桜など自生しているものを入れると約400種近くが世界中に現存しています。桜は突然変異を起こしやすい花として知られ、この特長がゆえに日本全国でも土地の気候に合わせ変化し、様々な自然種も多いのです。
さらに変化しやすい特長を生かし、品種改良も人の手によって数多く行われてきました。
例えば “染井吉野”は花が大きく花の形がきれいなオオシマザクラと葉が出るより先に花が咲く特徴を持ったエドヒガンザクラの掛け合わせです。
私たち日比谷花壇の店頭でも、路地に桜が咲く前から、“啓翁桜”など冬の寒いうちから小さくかわいいピンク色の花をつける寒桜が、一足早く春を感じさせてくれます。最近では年明けすぐからお部屋で桜を楽しめるのでギフトにとても人気があります。季節感たっぷりに春の代表的なお花、スイトピーやラナンキュラスなどと桜の枝を一緒にガラスの器で飾るのもお勧めです。
また、2月の下旬からは鉢植えの桜もお店を賑わせてくれます。小さな盆栽仕立てのものから、お庭に記念樹などとして植え替えて毎年の成長を楽しめる少し大きなものまでが並びます。
日比谷花壇の店頭では、恒例の“サクラ咲くキャンペーン”を開催している店舗もあります。桜の形をした短冊に願い事を書いていただき、店頭の桜の木に提げてください。願い事の書かれた桜の短冊は東京都世田谷区桜新町の桜神宮に奉納します。
桜の楽しみ方は人それぞれですが、路地の桜が咲くのを心待ちにしながら、今年は寒桜や鉢植えの桜も楽しんでみてはいかがでしょうか。
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美
コラムニスト紹介
店長を歴任するなど長年の店頭販売の経験を活かし、現在は、日比谷花壇の首都圏店舗を統括する鉢物マーチャンダイジングディレクターとして活躍。花鉢や観葉植物の魅力を熟知し、お客様が求める、またお客様に発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。