連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第64回  シクラメン 〜鮮やかさ 長く楽しめる〜  

かがり火を思わせる姿が人気のシクラメン

かがり火を思わせる姿が人気のシクラメン

冬の寒さが深まり、新しい年を迎える準備が始まるこの時期、お花屋さんの店頭は明るく品のあるシクラメンの花で彩られます。

冬を代表する花であるシクラメンは、花びらを上に立てて咲く姿から、和名を「カガリビバナ」といい、11月〜12月に出荷のピークを迎えます。こんもりと茂る葉の間から次々と咲く花は、開花期間も11月〜3月と長い間楽しめ、うまく夏越しできれば来年もかわいいお花を咲かせてくれます。

原産地は地中海沿岸地方で、日本には明治初期に渡来しました。昭和40年代以降からは冬の贈り物の定番として親しまれてきました。またシクラメンは鉢物の印象が強いのですが、最近では切花の取り扱いも増えてきました。切花でも長持ちで、2週間以上枯れずに楽しめます。小さなブーケにしてプレゼントしても驚かれますよ。また、ご自宅で小さな花瓶に一輪飾るだけでも、かわいらしく手軽に季節感を演出できます。

シクラメンの花言葉は「恥ずかしがりや」です。お花の頭を下げるようにして咲くことから付けられました。普段は内気で言えない日頃の感謝の気持ちを、恥ずかしそうに咲くお花の中に込めて、年末のご挨拶に大切な人へプレゼントしてみませんか?

より良いシクラメンを見分けるコツは、葉の数が多く、間延びしていないものを選ぶことです。シクラメンは葉一枚に一つ花が咲くといわれていますので、葉の数が多いものはプレゼントした後もたくさんの花を咲かせてくれるでしょう。また、葉を手のひら全体で優しく触ってみましょう。良いシクラメンは葉が引き締まり、触っても固くがっしりした感触があります。これはシクラメンがたくさんの日光を浴びて、間延びせずに育っているからで、農家の皆さんがすべての葉に光が当たるように手間隙かけて丁寧に育てた証です。

また選ぶ上で一番大切なのは、贈る相手のイメージに合った色や咲き方のシクラメンを選ぶことです。赤やピンク、白色が一般的ですが、最近では品種改良も進み、黄色や紫など珍しい色の品種や、スズランのように垂れ下がって咲く品種、お花や葉がフリル状でエレガントな品種、香りが強い品種など、毎年たくさんの新品種がお披露目され、私たちを楽しませてくれます。一年の締めくくりをシクラメンの花と香りで華やかに飾って、明るい新年を迎えましょう。

 コラムニスト紹介

三富裕子(みとみゆうこ)
鉢物マーチャンダイジングディレクター 三富裕子(みとみゆうこ)
ショップでの鉢物マーチャンダイジングの経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗を統括する鉢物マーチャンダイジングディレクターとして、お客様が求める、また新たな発見や感動を提供する商品/ディスプレイ展開を手掛ける。