連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第35回  ひまわり 〜画家も魅了する華やかさ〜  

ひまわりに、トルコキキョウやバラをあわせたアレンジメント

ひまわりに、トルコキキョウやバラをあわせたアレンジメント

子供の頃から誰もが名前を知っている太陽のような大きな花。夏を代表する花のひまわり(向日葵)は、北アメリカ原産のキク科の一年草です。大きな一つの花のように見えますが、小さな花が集まってできています。観賞用に栽培されるほか、種は食用になり油もとれます。古代インカ帝国では太陽の花と貴ばれ、石造りの神殿にはひまわりの花が彫られ、太陽神に仕える聖女たちは金細工のひまわりを身につけていました。英名は「サンフラワー」。

ひまわりの魅力はなんといってもまっすぐに太陽に向かって大きな花を咲かせる姿が、花の中でまるで「私が一番」と主張しているように見えます。北海道や日本の各地のひまわり畑はまるで絵画のような美しさを私たちに見せてくれます。そして、ひまわりを見ているとなんとなく元気になり、まるで生命のエネルギーに満ちあふれているようで、人々の心を引き付ける魅力があります。

そんなひまわりの魅力に多くの画家たちも惹かれ、その中でもゴッホは生涯に12点も「ひまわり」を描いています。南フランスのアルル滞在時に盛んに描かれ、ゴッホにとってひまわりは明るい南フランスの太陽、ひいてはユートピアの象徴であったといわれています。また、「睡蓮」で有名なモネは自然や植物をこよなく愛し、数々の名作を残しその中に「ひまわり」も描いています。フランスジヴェルニーにある有名な「モネの庭」でも夏になるとたくさんのひまわりが咲いていることでしょう。その他にもゴーギャンやマティスなど偉大な多くの画家たちが描いています。

 この時期、フラワーショップにはひまわりがたくさん並んでいます。ひまわりの魅力に惹かれた偉大な画家たちのように、芸術家気分でたくさんのひまわりを飾ってみるのも楽しいものです。きっとひまわりがいつもとは違うすてきな空間を演出してくれるはずです。そしてあらためて偉大な画家たちに触れてみませんか。今、市場には「ゴッホのひまわり」「モネのひまわり」「ゴーギャンのひまわり」といった品種もでています。遠い昔の画家たちと共に、いつの時代でも心ひかれてやまないひまわりを楽しんでみてはいかがですか。

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 コラムニスト紹介

渡辺 潤
日比谷花壇  日比谷公園店  フラワーコンシェルジュ
「常にお客様の立場に立って、楽しいお買い物のひとときをお手伝いすること」をモットーに、 長い店舗経験によって培われた豊富な知識と技術を持つ花のスペシャリスト。 とりわけカラーコーディネートを得意とし、大胆で斬新な色彩感覚は秀逸。 あらゆるご要望にお応えし、すべてのお客様に最高のサービスを提供する、 日比谷公園店専属の花のコンシェルジュ。