連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第33回  雨の日には青い花  〜ヨーロッパ原産のデルフィニウム〜

デルフィニウム、ミント、セージ、カモミールなどを使ったアレンジメント

デルフィニウム、ミント、セージ、カモミールなどを使ったアレンジメント

雨には、青い花がよく似合います。雨に打たれて重くなった頭を少し傾げて、しっとりと雨粒を湛える紫陽花や露草。きれいな青色がいっそう輝いて見えます。梅雨の時期は、外出もおっくうになってしまいますが、そんな時はお部屋に青色の花を飾ってみてはいかがでしょうか。雨音を聞きながら青い花を愛でれば、憂鬱な気分も吹き飛んでしまうかもしれません。

6月の青い花の代表といえば、日本では紫陽花を思い浮かべますが、ヨーロッパ原産のデルフィニウムも忘れることができません。キンポウゲ科のデルフィニウムは、春から初夏にかけて花壇をブルーに彩る、美しく豪華な花です。草丈が1mを超えて花が穂状につく豪華な花姿のパシフィックジャイアント系から、矮性で草丈が50cmほどのスプレー咲きのシネンシス系など、種類も豊富です。

デルフィニウムをお部屋に飾るときは、パシフィックジャイアント系のように草丈が長いものは、背の高い大きめの花器に何本かをたっぷりと活けると、その豪華さが引き立つ優雅なアレンジメントになります。スプレー咲きのシネンシス系は、背の低い小さめの花器に他の小花やグリーンとあわせてアレンジすると、可憐なアレンジメントに仕上がります。この季節は、陶器ではなくガラス花器に活けると爽やかさが増します。ガラス花器の中にビー玉やワイヤーを丸めたものを入れると、花留めになり、見た目にもおもしろいアクセントになるのでお勧めです。

また6月は、たくさんのハーブが勢いよく生長し、花をつける季節なので、アレンジメントにあわせる小花やグリーンとして、とても重宝します。淡いミントグリーンや深いグリーン、赤みがかったものやシルバーがかったものなど、葉色の種類が豊富でニュアンスが出しやすく、ハーブだけで小さなブーケにまとめても、とても素敵です。キッチンやテーブルの上にちょこっと飾って、そこからお料理やハーブティに加えられるのもいいですね。デルフィニウムの青色には、写真のアレンジのように、アップルミントやセージ、カモミールのように、明るいグリーンの葉が似合います。透き通るような青の花色とハーブの爽やかな香りを、お部屋で楽しんでみてはいかがでしょうか。


 コラムニスト紹介

日比谷花壇 本社 シニアデザイナー 西澤真実子
フラワーギフトの制作に長期間携わり、ギフトシーンにおける多くのフラワーデザインを 経験。現在は、ギフト商品の部門で商品デザインのコアを担い、トップデザイナーのひと りに数えられている。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とし、 女性的で透明感のある作風が特長。独特のロマンティックな演出が、多くのファンを魅了 してやまない。また最近では、書籍の表紙デザインやCDジャケットのフラワーデザインを 手掛けるなど、多岐にわたる分野で活動を続けている。