季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第26回 フラワーショップで花を頼むとき 〜お花の「ビスポーク」〜
贈る相手への心のこもった、世界に一つだけの花束を。
ロンドンの中心地にサビル・ロウという小さな通りがあります。ここは一流の注文紳士服店が集まった歴史ある通りで、「さびるろう」→「せびるろう」→「せびろ」と「背広」の語源にもなっていると言われています。既製服ではなく、このサビル・ロウでオーダーメードすることは、「ビスポーク」と呼ばれています。ビスポークとは、顧客がテイラーと話をしながら(be spoken)、服を仕上げていくことに由来しています。
ゆっくりと時間をかけて、職人さんとお話しながら、特別な一着を注文している姿を想像すると楽しそうですね。
そこで、お花の注文をする時も、この「ビスポーク」風で頼んでみてはいかがですか。
時間がない時などは店頭に出来上がっている花束を買うのも良いですが、それでは贈る人の気持ちがなかなか伝わりません。まずはせっかくのプレゼントですので、時間に余裕をもって花屋さんに行くことをお勧めします。相手の喜ぶ顔を思い浮かべて、店員にいろいろと相談しながら気持ちを込めた花を作ってもらいましょう。
最初にどのような目的でどのような人に贈るのかを店員に伝える事が大切です。用途によっては、向き不向きの花もあるからです。それと予算も伝えておきましょう。次に並んでいる花の中で気に入った花を選んでみます。1種類でも良いし、2〜3種類でも気に入った花があればぜひ店員に伝えておきましょう。そして、実際に組んでもらいながら、他に添える花や色合い、大きさなどを決めていきます。店員もプロの目から見て、いろいろと色の組み合わせ、季節感、花言葉などアドバイスしてくれるので、コミュニケーションをとりながら作ってもらいましょう。いろいろお話しながら作ると、店員の方も、プロとしてよりイメージに近づけようと知識や技術を発揮してくれます。作る側としてもあれこれとお話しながら作ることはとても楽しいものです。
これから春にかけて花を贈る機会も多くなる季節。花の種類も増えて春の香りでいっぱいです。花は人の心と心を結んでくれます。ぜひプレゼントする時は、贈る人の心のこもった、世界に一つだけの花束を贈ってみてはいかがですか。きっとそこには「感動」が生まれるはずです。コラムニスト紹介
「常にお客様の立場に立って、楽しいお買い物のひとときをお手伝いすること」をモットーに、 長い店舗経験によって培われた豊富な知識と技術を持つ花のスペシャリスト。 とりわけカラーコーディネートを得意とし、大胆で斬新な色彩感覚は秀逸。 あらゆるご要望にお応えし、すべてのお客様に最高のサービスを提供する、 日比谷公園店専属の花のコンシェルジュ。