日比谷花壇のデザイナーが、季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第23回 年の瀬に向けて 〜クリスマスツリーから新年を迎える花飾りへ〜
東京・日比谷公園入り口にある「ヒビヤカダン 日比谷公園店」とクリスマスツリー
今週はクリスマスウィーク。
街のいたる所でイルミネーションが輝き、気持ちも華やぎます。
私が働いている、先月末にリニューアルオープンした、日比谷公園の入り口にあるフラワーショップには、本物のモミの木を使ったクリスマスツリーがあります。バラのオーナメントや手作りオーナメントが取り付けられており、ピンクを中心とした艶やかな色のイルミネーションは、女性的で愛らしい印象です。ツリーを目にした方々はその美しさに足を止め、老若男女問わず携帯電話のカメラをかざして撮影していきます。
その足でフラワーショップにお立ち寄りくださり、店内に漂う花の香りに囲まれて全ての方が笑顔でご挨拶してくださいます。このクリスマスツリーをきっかけに多くのお客様と笑顔を交わし、毎日とても幸せなひと時を送っています。
ぜひ皆様もこのツリーを目印に日比谷公園まで遊びにいらしてくださいね。
さて、華やいだクリスマスも終わると、街は一斉にお正月の準備です。門松や注連飾り(しめかざり)を販売する露店が出始め、いよいよ「年の瀬」という言葉がふさわしい時期になります。
新たな一年がよりいっそう幸福な一年となるよう願いを込めて、正月の花飾りにも縁起を担いで生ける素材があります。
常緑樹である松は、一年中緑を保つことから永遠の生命を象徴し、大変縁起がよいものとして、お正月の花飾りには欠かせません。竹はまっすぐに伸びるさまや節目正しいところから、節操の象徴として。花は、早春に真っ先に咲き薫る梅、高潔な姿が美しい菊・蘭・水仙など。ナンテンは「難を転ずる」と言われますし、赤い実をつける万両や千両も好んで使われます。葉牡丹は「祝福」という花言葉を持ち、新年を迎える花飾りに彩りを添えます。
その花飾りの脇に千代紙や金銀の紙で作った「折り鶴」を添えたり、紅白の水引をあしらったりして、身近にある素材をプラスすると、更に華やかな正月花の完成です。
毎年、年末というのはさまざまな準備で慌しいものですが、心を込めた花飾りが目に留まればふと気持ちも落ちつきます。心新たに花を生けると新年のいいスタートが切れそうですね。
どうか来年も皆様にとって良い年になりますように。
コラムニスト紹介
約20年にわたり、日比谷花壇の店舗でフラワーコーディネーターとして活躍。 様々な花や緑の魅力を熟知し、お客様が求める商品を案内するとともに、花に託して贈るお客様の“気持ち”や“ご意向”をくみ取り、最適な提案を行う、花のコンシェルジュ。 花がもたらす喜びや感動をお客様と共有し、花を贈る人、贈られる人に期待以上の満足を得ていただきたいと、「ヒビヤカダン 日比谷公園店」でお客様をお迎えしている。