連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第13回  サマーバレンタイン 〜大切な人への想いをブルースターの花に託して〜

ブルースター、トルコキキョウ、ビバ−ナム等をあわせた花束

ブルースター、トルコキキョウ、ビバ−ナム等をあわせた花束

七夕の夜は、1年に1度織姫と彦星が再会できる星祭りの日。星が見えるかどうか天気が気になります。
旧暦の7月7日は、現在の8月立秋を過ぎた頃だったため雨も少なくて天の川が見え、織姫と彦星が再会できる確率も高かったようですが、新暦になってからは梅雨時期にあたってしまうため星がきれいに見えるかどうか難しいようです。この日に降る雨を「催涙雨」(さいるいう)と呼び、織姫と彦星が会えないために流した悲しみの涙だと伝えられています。

七夕にまつわる植物をご紹介しましょう。五色の短冊に願い事を書き、笹に飾るというのは一般的ですが、笹以外にも七夕にまつわる植物があります。織姫が機織り上手だったということから、七夕には手習い(手芸や習字)に関しての願い事をすることが多く、サトイモの葉にたまった夜露を集めて墨をすり、その墨で文字を書いて手習い事の上達を願ったそうです。
葉っぱの上でコロコロと丸く輝く夜露は星のきらめきに似て、星のしずくを集めているようでロマンティックですね。また平安時代には梶の木の葉に和歌をしたためて七夕飾りにしました。梶の木は昔から神木として尊ばれ、今でも地域によっては七夕祭りに梶の葉をお供えするところもあるそうです。

ところで、7月7日が「サマーバレンタイン」だということをご存知でしたか?
織姫と彦星にちなんで、想いをよせる人に気持ちを伝え、贈り物をする日として、1986年にサマーバレンタイン実行委員会が制定したそうです。ちょうどこの時期、5枚の花びらが小さな星型に見える花が出回ります。水色の小さな花をつける“ブルースター”は、「信じあう心」「幸福な愛」という花言葉を持ち、サムシングブルーの言い伝えからウエディングでも人気の花です。可憐な花姿のブルースターには、ナチュラルで素朴なイメージの花や葉をあわせると、その可愛らしさがいっそう引き立ちます。

ブルースターの花束に大切な人への想いを託して、気持ちを伝えるのもすてきですね。

 コラムニスト紹介

日比谷花壇 本社 シニアデザイナー 西澤真実子
フラワーギフトの制作に長期間携わり、ギフトシーンにおける多くのフラワーデザインを 経験。現在は、ギフト商品の部門で商品デザインのコアを担い、トップデザイナーのひと りに数えられている。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とし、 女性的で透明感のある作風が特長。独特のロマンティックな演出が、多くのファンを魅了 してやまない。また最近では、書籍の表紙デザインやCDジャケットのフラワーデザインを 手掛けるなど、多岐にわたる分野で活動を続けている。