季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。
第7回 新生活 〜もらった花束をお部屋で楽しむ〜
陶製の花器に活けたラナンキュラス、スイセン、ビバーナム等
新生活がスタートした四月。この時期はなぜか清々しい気分に包まれ、年明けの、あの清らかな気持ちにも似ていると感じます。思わず背筋を伸ばし、身体の空気の入れ替えを行いたくなるのですが、それはたくさんの『出会い』や『スタート』が溢れているからシャキンとしたくなるのかもしれませんね。
入園、入学、入社などの様々なシーンでの『出会い』。街には花束を持ったフレッシュマン、フレッシュウーマンをよく見かけます。
最近の花束は頂いた状態のままで飾れるものが多いのですが、片手に掛けて持つ「贈呈用の花束」は、基本的にはご家庭で束を解き、もらい手が好きなように好きな場所に飾ることを目的としています。今回は頂いたお花をご家庭に素敵に飾るコツをご紹介しましょう。
花には香り、色、形、様々な個性があります。まずは包みを開けてお花の色合いを見てみましょう。明るく元気を出させてくれる黄色やオレンジ、ピンク、赤、グリーンのお花を見つけたら、リビングやダイニングが最適です。お花の効果で、会話も弾み、食事やお茶も美味しく感じさせてくれます。
香りのあるお花は、玄関やベットルームがお勧めです。お家に入ってすぐ素敵な香りを感じられると心も身体も癒されます。フリージアやストックなどの香りの高いお花は一層効果がありますね。スズランやバラなどはベットルームに適しています。甘くてやさしい香りはリラックス効果があるので心地よい睡眠を助けてくれることでしょう。また紫色のお花も沈静効果があるので枕元にあると落ち着きます。
生活のほんの片隅に植物がいてくれるだけで癒され、元気になり、活力がわいてきたりします。そんな花をプレゼントする文化は、紀元前3000年前のエジプト時代からあったのだそうです。長い歳月を経て、今日まで人と人を結び続けてくれているお花に感謝し、これからも言葉を交わさなくても心が伝わるギフトとして、「永遠の文化」であってくれたらと思います。
コラムニスト紹介
ドイツ留学時代、師と仰いだペーター・アスマン氏の「我々の仕事は、 自然界に存在するものをより美しいものへと変えることだ」という言葉に感銘を受け、 独自の来本デザインを希求。帰国後、日比谷花壇に入社。 ホテル店でのウエディングやパーティ装花を経験した後、ハウスウェディングの監修を担当するなど、 ブライダルの分野において、その抜群のセンスを遺憾なく発揮してきた。 社外においてもその創造性は高く評価され、ミュージシャンのライブイベントに ゲスト出演しフラワーパフォーマンスを行うなどマルチな活躍を続けている。